エリートSPはようやく見つけたママと娘をとろ甘溺愛で離さない
 梓はのろのろと体を起こす。

 腕の中の和もぐっすり眠っていたのだろう。

 そして今もまだぐっすりという様子で眠っていた。

 手を伸ばし、和の額には冷却シートが貼ってあったので、首すじに手を当てた。

 まだ普段より体温が高いのは伝わってきた。

 だが先ほど以上に上がっている感じはしない。

 ひとまずほっとした。

 でもちゃんと体温計で測らなければいけない。

 梓は静かに体を起こした。

 和を今度は一人で布団に寝かせる。

 同じく静かに部屋を出て、キッチンへ向かう。

 おかゆを煮ようと思う。

 おかゆくらいなら食べられるくらいに回復していればいいのだけど、と思いながら。

 それから自分の食事も作らなければいけない。

 まだ考えはまとまりきっていないし、選ぶべき答えもわからないけれど、ひとまずしっかり食べることが必要だった。

 栄養がなければ思考も働かない。

 それでは正しい答えなんて遠くなってしまう。


 ちゃんと食べよう。
 好きなものでも作ろう。
 それで、和の熱が引いたら和の好きなものも作って、一緒に食べよう。


 この先のことがわからなくても、今はひとつずつこなしていくことが大切なのだった。
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