エリートSPはようやく見つけたママと娘をとろ甘溺愛で離さない
 しかし……。



 気持ちだけじゃ、できないことだってあるよ。



 梓の頭にそんなことが浮かんだ。

 そもそも和臣との別れを選んだのがそれである。

 嫌いになったのではなく、やむを得ない事情だった別れだ。

 だから、気持ちだけで決めてしまっては、またあのときと同じになるのでは……。

 梓の思考はぐるぐるしてきてしまい、色々と重たいことを考えた疲れまで湧いてきた。

 それに自分だって、昨日はよく眠れなかったのだ。

 眠りはしたものの、きっと眠りはだいぶ浅かった。

 両方からの眠気で、いつの間にか梓は寝入っていた。

 和をしっかり腕に抱いて、眠ってしまった。

 夕方になるまで目覚めなかった。

 まるで思考を一旦休めたい、無意識の領域で整理したいというようだった。

 幼い子どもを持つ以上、これほどぐっすり眠ったのは久しぶりだったかもしれない。

 はっと気付いたときには、夏の遅い夕暮れとはいえ、もうすっかり夕方の空になっていた。
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