【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。
「ワフッ!」
白い毛並みが、今日もキラキラしていて、最高に幸せだ。そう、メルシアは今、幸せだ。
ラティのほうも、尻尾がぶんぶん揺れていて、嬉しそうだ。
「ラティ!」
思ったよりも元気そうで、メルシアはホッと息をつく。
そして、尻尾を振り続けるその姿が、あまりに可愛いから、メルシアは、感激のあまり太めの首にしがみついて、思わず深呼吸する。
「ううっ。かわいっ! かわいいよぅ。ラティは、お風呂、嫌いじゃないのかな? ……いい匂いがする」
「ワフゥ」
なんだか、自慢げなその姿に、メルシアの口元に、思わず笑みがこぼれる。
「あのね。ラティって呼んでいいんだって。いざ、ランティス様本人からお許しを得たら、まるで愛称で呼んでいいって言われたみたいで、ドキドキしちゃった」
「ワフッ!」
「それに、久々に会えたランティス様は、やっぱり……素敵だった」
ビクッと少しだけ、ラティが震えた。