【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。
「あのね。家の格も釣り合わないし、なんで私なんかを選んでくれたのかって思ってたんだ。そんなこと思ったら、何も話せなくなっちゃって」
首を傾げたラティが、神妙に聞いているように見えるのがおかしい。
「ふふっ。ランティス様は、お優しいよね……。約束も、守ってくれた」
ぐりぐりと頭を擦り付けてくるラティの頭をゴシゴシ撫でて、メルシアは微笑んだ。
婚約破棄された時には、こんなふうに穏やかに、この場所にいられるなんてこと、想像もしなかったのに。