【電子書籍化】飼い犬(?)を愛でたところ塩対応婚約者だった騎士様が溺愛してくるようになりました。


(これは、姿が戻ったら問いたださなくてはいけないわ)

 よくよく考えてみれば、確かにランティスは、婚約破棄を受け入れる、と言った。
 けれど、メルシアの認識では、婚約破棄は確かにランティスから告げられたのだ。

「ね、ラティ。いつから私のこと好きだったの?」

 壁際で、プルプルと尻尾を振るのさえ我慢しているらしいラティ。
 ゆるりと、メルシアはそばへと近づく。

(かわいいなぁ……)

 メルシアの認識では、婚約する前、ランティスと出会ったのは、あの事件の時だ。
 そのあと、メルシアは、半年ほどランティスを遠くから応援しては、推し活を満喫していた。

 頭をそっと撫でると、スリッとお返しとばかりに擦り寄せられる頭。

 ランティスは、ラティの姿の時は、人間とは違う原理をもとに行動しているらしい。

(と、いうことは、私がしっかりしないといけないのだわ)

 婚約中も、塩対応婚約者だったランティスが、メルシアを置いて退席してしまったあと、いつもラティがそばに居た。
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