トップアイドルの恋〜好きになってもいいですか?〜
「こっそり入って来たんだ。誰にも見つからないように」
「ええ?そんな事出来るの?」
「うん。この病院、芸能人御用達なんだ。入り口が別にあって、一般人と会わないように診察とか入院もさせてくれる。面会に誰が来ても、外部には情報が漏れない。すごく信頼出来る所なんだ。ま、それにしても面会時間過ぎてるから、見つかったら帰されちゃうけどね」

そうなんだーと明日香が感心していると、瞬は急に心配そうな顔になった。

「明日香、怪我は?大丈夫?気になってもう、収録終わって飛んで来た。今も痛む?」
「全然!平気よ。おでこの傷も、縫う程ではないって。紗季さんが、念の為色んな検査をしてくれって頼んでCTも撮ったけど、異常なかったよ。それでも大事を取って今夜だけ入院する事になったの。しかもこーんな豪華な個室にしてくれて、なんだか申し訳ないくらい。明日にはもう普通の生活出来るって」
「そっか。でも俺のせいで明日香に怪我を…」

そう言って、明日香のおでこにそっと触れる。

「大丈夫だって!お医者さんも、多分綺麗に治って傷跡も残らないんじゃないかって」
「多分?!多分って…」

瞬は心底辛そうな顔をした。

「どうしよう。明日香の顔に傷が残ったら…俺のせいで…」
「だから大丈夫だってば!そんな大した顔じゃないよ?私。アイドルでもないし。そんなこと言ったらほら、私だって前に瞬くんのおでこにドアぶつけちゃったじゃない」
「あんなの、どうって事ないよ」
「ううん。大事なトップアイドルの顔だよ?もう私どうしようかと思ったもん」
「そう言えば陽子さんが言ってたな。責任取って婿にしろって」
「あはは!それ、瞬くんにしてみれば、踏んだり蹴ったりだよね。どっちも嫌な事じゃない」

だから、ね!おあいこ!

そう言って笑う明日香に、瞬はふと真顔になる。
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