国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
 ジェシカの部屋を出た二人は、フローラの自宅へと戻る。ジェシカの前で盛大にお腹を鳴らしてしまったフローラは、手際よくあるもので昼食を準備した。
 クリスも彼女の側に寄り、フローラの指示に従ってそれを手伝う。
「あ、クリス」
 やっとありつけた昼食を前にして、フローラはクリスに声をかけた。
「その……。今朝も言いましたが。今日は、そういった行為は無しですからね」
「無いんですか? 今からでしたら、明日の仕事には間に合うと思うのですが」
「無しです」
「あなたを助けるために、私もかなりの魔力を使ったのです。回復するためにはあなたの愛情が必要なのですが……」
 少し寂しそうな表情を浮かべているクリスだが、フローラの顔は引き締められたままだ。
「では、ゆっくり休んでください」
 ピシャリとフローラが言い放った。
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