国をあげて行う政策によって付き合いを始めた二人のお話。
31.団長からの命令
 その後、意識を取り戻したナッティだが、闇魔法の力とそれを手に入れてからの記憶をすっかりと失っていた。
 処刑と言われていた彼女ではあるが、記憶を失っては必要な証言も得られない。危険とされていた闇魔法の力だがそれすら失ってしまっている。ということは、彼女を危険と判断する要素は無くなってしまったわけで。だからといって彼女の悪行の事実が消えるわけでも無く、当分の間幽閉処置となったそうだ。
 ジェシカは正式に隣国へ嫁ぐことが決まったらしい。アリハンスへ入国し、そこでしばらくさまざまな教育を受けてから婚姻を結ぶ流れに決まった。そのため、彼女からクビを言い渡されたフローラではあるが、エセラがちゃっかりとジェシカへついていくことに決まっていた。
 理由をジェシカに尋ねてみた。
「エセラったら。あのとき、あっちの騎士といい関係になってたらしいのよ。まったく、信じられなくない?」
 ということのようだ。
 どうやら先日、ジェシカの外交についていったエセラだったが、その滞在中に向こうの護衛騎士の一人といい仲になっていたらしいのだ。そのため、エセラがジェシカに付いていくと言い出した始末。
「というわけで、フローラ。あなたは今日でクビ。次の就職先を探しなさい。あ、決まってるか。永久就職っていうやつでしょ?」
 ジェシカは楽しそうにその言葉を口にしていた。
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