巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。
51 嵐の前
いくらエルの事が好きでも、身分違いだからきっとこの恋は報われない、と思い込んでいた私は、エルと結ばれたその先を考えていなかった。
そうして、お爺ちゃんから妃教育について聞かされ、とても大事なことを失念していたらしいとようやく気づく。
(そうだった……! エルのお嫁さんは王妃になるんだ……! 当たり前のことなのに忘れてたよ……!)
だけどお爺ちゃんがこの国の貴族になり、私の両親が<聖女>と<聖騎士>だったとしても、私自身が孤児だった事実は変わらない。
私の出自を知らない、血統を重んじる貴族達からすれば、突然現れた何処の馬の骨ともわからない私のような存在は邪魔以外の何ものでもないと思う。
「私とエルが両思いだからって、結婚が許されるわけじゃないよね? お爺ちゃんのおかげで身分的に問題が無くなったとしても、そう簡単に王妃になれるわけじゃ……」
「なれるぞ?」
「……って、え? なれるの?!」
「この国は良くも悪くも法国の影響を強く受けているからな。俺が騎士団長になるのを許された時もそうだっただろ?」