巫女見習いの私、悪魔に溺愛されたら何故か聖女になってしまいました。

02 神殿本部


 私達が暮らす国、サロライネン王国は隣国のバルドゥル帝国程大きい国ではないけれど、商業が盛んな国でとても活気がある。

 だから王都へ行く商隊を見つけ、雑用をするからと頼み込み、同行させて貰える事になったのはとても運が良かった。

 子供達を街の婦人会のおばさま方にお願いし、しばしの別れを惜しみながら王都へやって来た私は、孤児院の援助をお願いするべく神殿本部までやってきたのだけれど……。


「済まないが、今の神殿内部は王太子の視察の対応に追われていてね。聖堂聖省の担当者も駆り出されてしまっているんだよ」


 私は門番さんの言葉に衝撃を受けた。


「そ、そんな……! 修道聖省のご担当者は? 奉献聖省の方でも……」


 聖堂聖省は神殿全体の財産管理を、修道聖省は各神殿を管理し、奉献聖省は信徒達の健康や医療、労働などに携わっている行政機関だ。本国であるアルムストレイム神聖王国に本庁があるけれど、世界各国の神殿本部にそれぞれ各聖省の支部がある。


「どの聖省でも関係ないよ。神殿を挙げてお出迎えするからね。しばらくは外部の応対は無理だと思うよ。七日後にもう一度来てくれたら大丈夫かな」
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