ひねくれ御曹司は気高き蝶を慈しみたい

「ねえ、お姉ちゃん。予備の洗剤ってどこに置いたか知らない?」

 二人の会話に割り込む隙を窺っていた粧子にとって、調理場からやってきた麻里は救世主のようだった。

「裏の棚の上に置いておいたわよ」
「棚の上か~。ありがとう」

 粧子は栞里が麻里の問いかけに答えている隙に、トレーをジローに渡した。

「ジローさん、こちらどうぞ」
「ああ、ありがと」

 そのまま調理場に戻るかと思われた麻里だが、店内に果歩とジローがいることに気がつくとその場にとどまり挨拶を交わしていく。

「あ、果歩さん。こんにちは」
「こんにちわ、麻里さん」
「よかったら試食していきません?来月お店に出す試作品を作っていたところなんです」
「嬉しい!!いいんですか?」
「今、持ってくるんで、少しお待ちください」

 麻里は一旦調理場に戻ると、新作のレタスとコンビーフのサンドウィッチを一口サイズに切り分けて持ってきた。
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