ひねくれ御曹司は気高き蝶を慈しみたい


「歓迎会?」
「そう、土曜の夜に歓迎会を開いてくださるそうなの。行ってもいいかしら?」

 粧子は灯至が帰宅すると真っ先に駆け寄って、歓迎会の話をした。
 栞里と麻里から歓迎会の打診をされたのは今日のこと。一応灯至に許可をもらってからと思い、返事を保留にしていたのだ。

「随分と馴染んでるようだな」
「栞里さんと麻里さんは本当にいい人で……。雇ってもらえて良かったです。お店のサンドウィッチ、とっても美味しいんですよ。今日、試作品を頂いたんですけど、お店に並ぶのが今から楽しみです」

 粧子にとって同じ年頃の女性同士が集まって仕事をする環境は初めてだった。OL時代は粧子以外ベテランの女性社員ばかりだったし、ヒラマツでは若女将という役柄、他の従業員とは異なる仕事を割り振られることが多かった。
 灯至はウキウキと仕事の様子を話す粧子の頭を撫でた。

「帰る時には必ず連絡しろよ」
「……はい」

 灯至の許可を得たことで、歓迎会は予定通り開催される運びとなった。歓迎会は店から歩いてすぐのところにある沢渡家で行われる。一度訪ねたことがあったので道に迷うことなく約束の時間きっかりに到着する。
 インターフォンを押すと、栞里が玄関扉から顔を出した。

「粧子さん、いらっしゃい!!入って入って!!」

 居間の卓袱台の上にはおつまみらしき前菜の盛り合わせなどが所狭しと並べられていた。

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