ひねくれ御曹司は気高き蝶を慈しみたい

 大叔母の葬儀が終わった翌日、それまで気を張っていた疲れが出たのか粧子は熱を出した。
 ベッドの中で寝入る粧子の夢の中には大叔母と由乃、そして父がかわるがわる登場した。

『粧子』

 最初に現れたのは父だった。いつも膝の上で本を読み聞かせてくれた大好きな父。

『粧子っ!!』

 次に現れたのは由乃だった。毎朝粧子の髪を結んでくれた愛情深い母。紋白蝶の髪留めは今でも粧子の大事な宝物だ。

『粧子……』

 最後は大叔母だった。皺だらけの手は器用でそれでいて温かった。

 今世では二度と会えない人達が、一様に物言いたげに粧子を見つめている。

 待って……。行かないでっ!!

 三人に縋りつこうと手を伸ばすが、あと一歩のところで届かない。どうしてと絶望が胸を支配する。

 お願い、ひとりにしないで……。私も連れて行って……!!

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