あの花が咲く頃、君に会いにいく。
私の叫びは誰にも届くことなく、傷つけ合っている二人にも触れない。



「私、ずっと凛が嫌いだった!玲も七海も、凛と一緒に変わっちゃった!なんでなの!なんで!出会った頃の三人は優しかったのに!なんで変わっちゃったの…っ!」


「あんた見てるとイライラすんだよ!いっつもビクビクして、紫音がいないとなんにもできなくて!紫音だってそう!いっつも笑ってるけど、素出してんのはいつもあんただけだった。ずるいよね。私には辛かった時、助けてくれる人なんていなかった。玲も七海も、私に標的にされるのが嫌で素直に従ってくれただけ。こんなの…本当の友達じゃない!でも一人はもっと嫌だった!だからあんたをいじめることで、私は私を満たしてた」


「え、どういう…」



–––ペタッ。ペタッ。ペタッ。



全員がばっと廊下を振り向く。不気味な濡れた足音が、ゆっくりと近づいてくる。


直感的に、早くここから離れた方がいいと悟る。



「ねえ、何この音…?」



玲が震えた声で言った。


誰もその問いに答えることなく、みんな固まって廊下を凝視している。



ふと、足音が教室の前で止まった。


ゆっくりと扉が開き、古い制服を着た女の子が中に入ってきた。長い黒髪のせいで顔はよく見えないが、肌は驚くほど白く、何よりも纏っている空気が尋常ではなかった。



「みんな、逃げて!」


「に、逃げよう!」



固まって動けないみんなに叫ぶと、声が届いたはずはないがハッと我に返った茅乃が叫び、やっと三人も動き出した。
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