オタクな俺とリアルな彼女。
買いに行け,じゃなく買ってこい?



「なんだ」

「あの……俺,買ったらここ戻ってきていいんですか?」

「何を言っている。ここは公共の場であり,ここには椅子が2つある。他の席は既に埋まり,私もだめだと言った覚えはない。何より,既に君はずっとここに居ただろう」



こてんと,頬杖を着きながら首をかしげられる。

可愛いなんて言ったら,怒られるのだと,俺は唾を飲み込んで耐えた。



「い,行ってきま……や,ご馳走さまです」



追い払われるように告げて,そろそろと席をたつ。

俺の背中を見て,ようやく先輩は自身のカフェラテに口をつけたようだった。

もう,冷めてるだろうな。

そんでもって,コーヒーなんて味わかんねぇだろうな。



「……待て」



鋭く声をかけられて,俺はピタリと止まった。



「な,なにか」

「薫,最近の平均睡眠時間はいくつだ」

「え,と。多分,先週辺り位から…4時間,位だと思います」



ぐっっと,今までに無いくらい眉が寄せられる。

嫌いなものを,箸で口まで持ってこられた時のような。

皺にならないか心配だ。



「何故,そんなに少ない? 圧倒的に足りてないだろう,何故平然と笑っていた。余程過酷な環境ででも育ってきたのか君は。なら体育は? ここは必修だろう,何故今私の前で平然と立っている? 毎晩何をしているのだ君は」



ぶつぶつと睨まれたまま詰問される

心配されてるのは……俺の方か。
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