オタクな俺とリアルな彼女。
俺は椅子に戻りながら,照れつつ答えた。



「先輩の配信が楽しくて。体育は心配されなくても,ちゃんと出てますよ」

「は?」



理解不能の4文字が,重たく俺にのしかかる。

ぐさりと一身に受け止めながら,俺は毎日のルーティーンを語った。

23:30先輩の配信が終わる。

そのあと30分ほど配信の余韻にひたりつつごろごろし,その後風呂に入る。

0:30にもなる頃に,地味に夜食を摂取する。

それが終わったら歯を磨いて,その後は布団に。

そして更に最近は2時間程寝付けない時間が続き,いつの間にやら眠っている。

全てを聞き終えた先輩は重たい息を吐き,頭を軽く小突くような声の調子で



「それは眠っているのではない,君はただただ限界を迎え,毎晩気絶しているだけだ。風呂で死んだとしても文句は言えまい」



そう言った。

気絶……そう言われてみれば,それが1番しっくり来た。

思ってたより……やばいな俺。



「何故私が,0時より更に早く配信を切り上げるのか,考えたことはないのか? 最古参なのだろう」

「え? それは翌日に響くからじゃ…」

「確かにそうだ。だか,それは薫のようなリスナー側の話であって,何を勘違いしているのか知らないが私ではない。生憎,どれだけ呑もうと2日酔いの経験は未だない」



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