if…運命の恋 番外編Ⅱ『運命の出会い』

『運命の出会い』

『運命の出会い』

「春子ッ!　ちょい(ちょっと)春子待ちなさいッ!　あんたって娘はまるっきし(まったく)、そないなんじゃ(そんなんじゃ)嫁にだって出せへんわ(出せないわ)よ～!　家業の手伝いぐらいはしてね、お父はんや・・・あッこらッ!　春子～ッ!」

”またお母ちゃんの小言で、お休みの日が始まっちゃった”

「当時の私は、かなりのお転婆娘だって近所でも有名でネ・・良く母親に追いかけられて・・そうねぇ、そんな私にね」

春子は昔を思い出すように、遠い目をして私に話し始めた。

一番茶の頃は、茶農家や茶問屋にとって、一年でいちばん賑やかで忙しい時期でね、家が老舗のお茶屋で、おまけに茶畑まで持ってるモノだから、5月初めの休みなんかの時期になると、お店に出て接客しなさいとか、○○家にお品物をお届けしなさいとか、お母ちゃんから私への言いつけや、小言で始まる日は日常茶飯事だったの
そしてその頃は、どうも小言の中に ”嫁に出せない” とか ”嫁げない” とかの単語が入るようになったから、またお見合いなんだろうって考えててね。

そう、春子の家は京都の老舗の茶問屋とお茶屋を営んでいた。すでに春子の兄夫婦の代になっていたが、ご隠居夫妻(両親)は25歳を過ぎても嫁の貰い手がなくて、ことごとくお見合いをお断りする春子に手を焼いていた。
春子の自由を奪い、いいつけの厳しさを増していたので、春子も必死で逃げ回っていたのだ。

私の大事な時間だもの、誰にも邪魔なんてさせない。そう、私の大事な時間は教会に行くための時間なんだから。

日曜日は信頼おける牧師様のお話を聞いて一日が始まる。
それから、みんなと一緒にボランティア活動をする。
これは地元の大学に在学中からの習慣になっていて、今では私のライフワークになっていた。