クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした
「感じわるっ。ベー」
「今の人だれ?」
去る彼女の背中に向かってあっかんべーしてるりらに聞いた。
「3年の妃崎先輩。西組の姫だよ」
「姫?」
「佐紺先輩の彼女。総長の彼女は『姫』って呼ばれてるの。ほんとアホらしい制度だよねー」
姫なんて役職もあるんだ。
見た目は女王様って感じだったけど。
キレイなストレートの黒髪。キリッとした目。160後半はありそうなくらいの高身長。
すらりとしたスタイルの美人さんだった。
「苫ちゃんも大変だな」
「まぁ……」
「あんま気負わないで、楽しんで行こうか」
平野さんに言われて、わたしたちは歩きだした。
妃崎先輩に言われた言葉や向けられた目が多少気になるものの、今は気にとめていられない。
さあ西組の遠足の開幕だ──。