クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした
「げえ」
「だはは!へったくそー」
「うっさいわ。包丁の切れ味が悪いんだよ」
「料理できないやつにかぎって、すーぐモノのせいにすんだよなぁ」
「黙れ」
「おぉぉ、おい……!包丁こっち向けんな」
「ピーマンは切れなくても、あんたなら切りきざめる気がするわ」
にぎやかな声が響く調理場。
午前中は、食材を切る班、火おこし班、テントを張る班に分かれてのバーベキュー準備。
調理場には食材を切る班の人たちが集まっている。
手慣れた様子で切る人もいれば、慣れない包丁に苦戦する人もいて。みんな真剣に任務を遂行中。
わたしは全体を仕切る現場監督的立場として、それぞれの班を行き来してる。
現在は調理場を見回り中。
すると、後輩の女の子が駆けこんできた。
「西ヶ浜先輩。玉ねぎ班全滅しました!」
「えぇ⁉︎」
全滅ってなにがあったの?
急いで玉ねぎを切っている人たちのところへ行けば、みんな泣きながら包丁を握っていた。
ほとんど手が止まってる。