クールな番犬くんは学園最強のオオカミでした

「くそ、なんだこれ。めちゃくちゃ目いてぇ」

「メイクが崩れるぅ」


な、なるほど……。全滅ってこういうことね。


玉ねぎは慣れてないと、切ったときの成分が目に染みて涙が出る。これがめちゃくちゃ痛い。


どうやらみんな、玉ねぎにやられてるようだった。


「が、がんばってください……!」


としか言いようがない。

手伝ってあげたいけれど……。


「西ヶ浜さん、ちょっといいですか?」

「はい、なんでしょう」


現場監督は忙しい!


声をかけてきたのは、火おこし班リーダーの八巻くん。

言いにくそうにこっそり話しかけてくる。


「その、問題が……」

「問題?なにかあったの?」

「あっいえ。火おこしはちょっと苦戦してますが順調です。ただ、あっちの──」


あっち?


……ああ、そういうことか。


八巻くんの視線を追った先で、木陰にたむろする集団を見つけた。

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