極上パイロットはあふれる激情で新妻を愛し貫く~お前のすべてが愛おしい~
見習いという立場では、とてもあの飛行機の安全を自分が守っているとは口にできないけれど、その一端を担えていると思うだけで頬が緩むほどうれしい。

それで十分じゃない。


自分にそう言い聞かせるも、胸の痛みは増すばかり。


人間というものは、どうしてこんなに欲深いのだろう。
ひとつ願いが叶うと、もうひとつと望んでしまう。


ふたりの仲睦まじい姿を見ているのがいたたまれなくなって、しばらく時間を潰してから駅に向かった。


当然ホームにも電車内にも岸本さんの姿はないのに、キョロキョロ捜してしまう。


「バカね」


もしいたとしても、きっとあの女性と一緒なのに。

勉強しよ。

頭の中が岸本さんでいっぱいでは苦しいだけだ。

滑り込んできた電車に乗った私は、ポケットにつっこんである自主勉強用のメモを取り出して目を落とした。



それからしばらく、岸本さんの姿を見かけることはなかった。
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