錆びきった鐘は
そのときスカートのポケットから、電話の着信を知らせる振動を感じた。


とっさに頭を下げてから通話ボタンを押すと、お母さんのいつにもましてテンションの高い声が響いた。




『ごめーん美葉!なんか、お母さんいちご買ってたみたい!今冷蔵庫開けるまで気づかなかったわー』


「……え、え!?」



衝撃でスマホを落とさないように慌てて両手でしっかりと握りしめる。



『もう買っててもまだ買ってなくてもいいからさー、とりあえず家戻っておいでー』



一方的に要件だけ伝えられて一方的に切られる。……とはならなかった。
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