身代わり婚のはずが冷徹御曹司は一途愛を注ぎ貫く

胸が音を立てたのは、彼の声が想像以上に切なかったからだ。

「……すみません」

エレベーターの方が怖かったでしょう、なんて誤魔化しは言えなかった。声を聞いただけで、本当に大きな心配をかけてしまったのだとわかる。

「いいかげん、自分の魅力を自覚してくれ。お前はいい女なんだ。俺が一瞬で惚れるほどに」

……やだ、叱られているはずなのに、顔が熱くてたまらない。

「き、気をつけます……」

「二度と俺のそば離れるな。これからは、俺が香波を守る」

感動で涙腺が緩み、ほろりと涙が流れた。誰かに守ってもらうなんて、これまで考えたことがなかった。夫婦になったからといって貴仁さんになにか求めてはいけないと思っていた。でも、これからは貴仁さんに守ってもらえる。私は彼のものだ、という甘い感覚がじんわりと広がり、体が疼いてくる。

「……ありがとうございます。貴仁さん」

押し寄せる気持ちに正直に、甘える声を出していた。頬も体も熱いし、力が入らなくて彼に身を預ける。
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