身代わり婚のはずが冷徹御曹司は一途愛を注ぎ貫く
「来るに決まっているだろう。ひとりではもう外へ出さない」
「貴仁さんの気持ちがわかった気がします。ピンチを救われると、理屈ではなく……好きになっちゃいますね」
「……香波。それは」
恥ずかしくて、少しずつしか言葉にできないが、気づいた彼はじっと続きを待っている。冷たくされたことはもう水に流していいかもしれない。だってこれからとびきり甘く過ごせる日々の方が、ずっと大切だ。
「その気に……なったかもしれません」
踏み切れない彼を後押しするように、花純とは違う私なりの誘う視線を、精一杯貴仁さんへ向けた。彼はまた焦点を揺らし、唇を近づける。
「お前に煽られたら、俺は本当に止まらない」
「それでもいいかな、って、思ったりして……」
「言ったな」
キスは甘くとろけ、余裕なく激しくなっていく。切なさの混じったこれまでのキスとは全然違った。愛が脳まで響いて、溺れそうになる。
「貴仁さん……好きです。いつまでも意地を張ってごめんなさい」
「香波。謝らないでくれ。これからやっと愛し合えるんだ」
正直な気持ちを口にするたび、彼と本当に繋がった気がした。これまでなかった愛し合う夜は、初めての幸せに満ちていた。