銀色ネコの憂鬱
「今日、会社大丈夫だった?」
蓮司が聞いた。
「…はい、猫の話してたらなんか大丈夫でした。といっても私も社長も外回りだったので、あんまり顔合わせずに済んじゃったんですけど。」
「そっか。ならとりあえず良かったね。」
(昨日のこと、責任感じてるのかな…一澤さんて意地悪なのか優しいのか、よくわかんない…)
「…昨日、聞いてもらって…少しすっきりしました。」
菫の言葉に蓮司は驚いた表情(かお)になった。
「…なら良かった。」
そう言って優しく微笑んだ。
「あ、な、名前!どうするんですか?」
菫は照れたように、すぐに違う話題を振った。
「こいつの?」
菫は(うなず)いた。
「スミレ。」
「え!?絶対やめてください!!」
「に、しようかなって一瞬思ったけど、そんな感じの反応になるだろうと思ったから違うの考えた。」
蓮司は笑って言った。
「スミレってSmileとも書けるし、こいつが来てスミレちゃんが笑ってくれたから…スマイリーって名前にした。」
「スマイリー…」
菫は子猫の顔を見ながら声に出してみた。
———ミャア
「かわいい!スマイリー!」
菫はふふっと微笑んだ。
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