契約夫婦なのに、スパダリ御曹司は至極の愛を注ぎ続ける


「うん。そうして。ほら、私の元彼が襲撃してきたことがあったでしょ。あのとき、柚希がぶるぶる震えながらも〝お引き取りください〟って何十回も繰り返して撃退してくれてさ。本当に身を挺して守ってくれたのを見て嬉しかったから。あのときもう柚希とは一生友達でいようって心に決めたから、これからも私が守るの」

『お、お引き、お引き取りっ、ください!』
強面で大柄な男性だったから、他のスタッフはみんな関わりたくなさそうだった。でも、要求通り蘭を出すわけにはいかないと思い、第一線に立ち、対応したのが懐かしい。

蘭を守りたい一心だった。
急なシフト変更だって、無理して受け入れているわけじゃない。お世話になっているから、お店の役に立ちたいだけだ。

「なぜか私の元彼ってすぐストーカーみたいになるんだよね」と呑気に笑う蘭に、苦笑いをこぼす。

「今後はできれば強面とか大柄な人はやめてほしいかも。あのとき私、足すくんでたんだから」
「そうだったね。撃退したあと、柚希、その場にへたりこんじゃって、他のお客様に心配されて囲まれながら私とオーナーで両脇抱えて──」

そこからは懐かしい思い出話に花を咲かせたのだった。




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