契約夫婦なのに、スパダリ御曹司は至極の愛を注ぎ続ける
「ねぇ、悠介って今までの恋人……」
悠介を好きになった途端、急に今までの恋愛遍歴が気になり悠介を見上げる。
でも、最後まで続けられずに一度口を閉じた。
「ごめん。なんでもない」
再会してすぐの頃は、なにも考えずに聞けたのに、今は躊躇してしまう。
それは、やっぱり踏み込みすぎかもしれないという考えがよぎったからというのもあるにしても、一番の理由としては怖かったからだ。
一度恋愛関連の話になったとき、悠介ははぐらかしたし、今回だって同じ結果に終わるかもしれない。
でも、もしもしっかり答えてくれた場合、私はどんな答えが返ってきても傷つく気がした。
悠介は、魅力的な男性だ。前は否定されたけれど、それは謙遜で、きっと恋人を切らせたことなんてないと思う。
そして、その人たちに誠実に向き合って、支えて、手を繋いで歩いて、ぶっきらぼうに思える態度の裏に優しさを隠していたんだろう。
今、かりそめの妻である私にそうしているように。
大事に抱き寄せて、溶けるようなキスをして……私とは経験していない行為もして。ベッドの上で私を呼んだような声と表情で、その人の名前を口にして──。
それは、大人の男性としては当然だし、嫌だと思う私がおかしい。
そうわかっていても、勝手に想像する頭を止められなくて唇を噛んだ。
ダメだ。どう割り切ろうとしてもやっぱり悔しいし、過去だろうと全然嫉妬するし、私だって……!というやる気がどんどん湧いてしまう。