契約夫婦なのに、スパダリ御曹司は至極の愛を注ぎ続ける
「途中で止めるなよ。気になるだろ」
肉食どころか猛獣クラスの恋心に戸惑っていると、片眉を上げた悠介に言われ、笑顔を作った。
「ううん。本当になんでもない。それより、こんな時間に仕事抜けて大丈夫だったの? 私のことはもう気にしなくても大丈夫だよ」
今日は早番だったから、今は十六時半。一般企業だったら定時前だ。
弁護士事務所がどういうタイムスケジュールで動いているのかは知らないけれど、ちょうど一週間前だって婚姻届を提出したり指輪を買ったりで午前中、悠介は仕事に行けなかった。
いくら自分が代表だからといって、あまり頻繁に私事で仕事を抜けるのは他の人たちに示しもつかないし悠介の立場が悪くなる。
それを心配して〝もう大丈夫だから〟と言ったのに、悠介は「そういうわけにもいかない」と即答した。
「念書には法的効力はないし守らない人間も多い。気を悪くさせるつもりもないが、あの母親はそういうタイプだ。それに、おまえのことを嫌うあまり執着しているし、そういう人間は簡単に常軌を逸した行動に出る。念には念を入れておいた方がいい」
「そうなんだ……」
署名捺印しているわけだし、あの約束事は絶対守られるのだとばかり思っていたので、悠介に言われ驚く。