ハイスぺな俺が北川さんに相手にされない
「いや、何でもないです…
あー、えっと…」
今夜はずっと一緒にいたかった。
でも、そんなわけにもいかないし、
ちょっと顔を見れただけでも
嬉しかったし、
俺は自分の家に戻ろうとして靴を履いた。
玄関のドアノブに手をかけたとき、
北川さんが、俺の上着の裾をつかんだ。
振り替えると、北川さんは
何かを言おうと口を開けている。
でも、何と言っていいかわからなくて
言葉が出てこないようだった。
俺はドアノブから手を離した。
「あの…えっと…なんというか…
気にしなくていいと思います。
誰でも失敗ってあるし…
あ、いや…
失敗ってことじゃないですけども…
私なんてもっと色々やらかしてますし…」
そっか、北川さんも職場で、
あの事、聞いたんだ。