もう一度、重なる手

 二件の着信と一件のラインは翔吾くんから。

〈お母さんの状況、大丈夫? また落ち着いたら連絡して〉

 ドタキャンしたことを怒っているかと思ったけど、ラインの文面を見る限り、翔吾くんの反能は冷静だった。理由が理由だから、仕方ないと思ってくれたのだろうか。

 ほっとしてもう一件のメッセージを見ると、アツくんからだった。

〈連絡ありがとう。じゃあ、明日の昼休みにこの前のカフェで一緒にランチでもどう?〉

 そういえば、警察から連絡をもらう前にアツくんにラインを送っていたんだ。数十分前の自分の呑気さが嫌になる。

〈明日は、もしかしたらダメかもしれない。〉

 ため息を吐きながらアツくんにメッセージを返すと、すぐに既読が付いた。

〈なにかあったの?〉

〈お母さんが、バイクに衝突されて病院に運ばれたみたい。〉

 そう返した直後、アツくんから電話がかかってきた。

「もしもしフミ? 大丈夫?」

「わからない。とりあえず、今から病院に行ってみる」

「お母さんの状況も気になるけど、俺が心配してるのはフミのこと」

「え?」

 当然母の状況を訊かれているのだと思っていた私は、アツくんの言葉に驚いた。

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