エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません

ここ数日の大和の態度はやはりどこかよそよそしく、ケンカをしたわけでもないのに言葉を交わす頻度はグッと減っていた。

そんな状態では当然夜に誘われるわけもなく、やり残した仕事があるから先に休むように言われ、ベッドの左側を空けて眠っている。

目覚めてもすでに大和は起床していて、半分空けていたスペースのシーツはひんやりと冷たく、彼がいつどこで眠ったのかもわからない。

大和のぎこちない笑顔を見るたびに不安はどんどん膨れ上がり、今朝は顔を見た途端に泣き出したい気持ちになり、目を合わせられないまま出勤した。

よくないとわかっているのに、互いにどうしたらいいのかわからない。そんな状態がもう三日も続いている。

その原因がもし目の前の女性なのだとしたら、怖くて足が震えそうになるけれど、どんな話なのか聞くべきだと思った。

「……かしこまりました。今日は五時までなので、それ以降でしたら」

フロントスタッフとして恥ずかしくないよう背筋を伸ばしたまま答える。

プライベートな話題だろうと、ここに立って客と対峙している間は、瑠衣個人ではなくアナスタシアのスタッフなのだ。

「じゃあ五時半にそこのラウンジでいいかしら?」
「はい」

やっとのことで絞り出した声で返事をしたのを聞くと、沙良は身を翻してホテルから出ていった。

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