エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません
沙良は瑠衣に向かって『大和を日本に縛り付けている』と言っていた。
やはり彼ほど優秀な弁護士ならば、海外で活躍すべきだと思っているのだろう。
「だ、大丈夫? 一緒に行こうか?」
瑠衣以上に焦っておろおろしている梓の様子に、少しだけ緊張の糸がほぐれる。
「ありがとう。でも大丈夫。なんの話かわからないけど、ちゃんと聞いてくる」
「どんな話だったとしても、帰ったらちゃんと旦那さんに話したほうがいいよ。直接の知り合いでもないのに職場で待ち伏せするなんて、ちょっと行き過ぎてる気がするし」
至極もっともな意見に頷きたくなるけれど、それは同時に大和の過去を受け止めなくてはならないということ。
自分と結婚する前の恋愛は自由だし、嫉妬したって仕方がない。
わかってはいても、いざ実際にあれほど美人な元カノの顔を見てしまうとモヤモヤするし、大和から沙良との関係を肯定されたら、嫉妬する気持ちに拍車がかかりそうだ。
曖昧に笑って梓と別れ、指定されたラウンジへ向かった。
普段自分が働いているカウンターから見えるので馴染みのある場所に思えたが、実はあまり利用したことはない。
二階まで吹き抜けの天井は空間を大きく見せ、奥の石壁は一面大きなアクアウォールとなっており、凹凸の壁を流れる水が清らかで特別感のある雰囲気を醸し出している。