エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません
それを俯き気味で聞きながら、瑠衣は運ばれてきた紅茶にひと口も口をつけずに見つめていた。
「彼は小さな島国で終わる男じゃない。アメリカに戻って、うちのような大手の事務所で大きな案件を請け負って活躍すべきだわ。大和だって、きっとそう望んでる。それを認めて支えられないなんて、大和の妻失格よ」
〝失格〟と激しく非難する言葉に、瑠衣は思わず顔を上げる。
(大和さんが優秀な弁護士なのも、大きな案件を請け負って活躍すべきだってことも、ちゃんとわかってる。だからこそ、彼との子供がほしいけど、私だって……)
毎日切なさと罪悪感で押しつぶされそうになりながら、決して妊娠しないよう一錠ずつ薬を飲んでいる。
大和には告げず、知らぬ顔で抱かれる。それがどれだけ苦しいか。
彼は瑠衣にこれ以上ないほど優しく、時に意地悪に触れ、大切に扱ってくれる。大事に想ってくれているのは疑いようもない。
そして瑠衣の気持ちも、結婚を決めた時とは違う。
一緒にいるほど彼を知り、好きになり、かけがえのない存在になった。
今では彼を愛しているからこそ彼の選択肢を狭めてはいけないと、契約のような結婚生活を終わりにするべきではないのかと悩んでいるのだ。
けれど、きっと目の前の沙良にそう訴えたところでわかってはもらえないだろう。
今現在、大和を日本に縛り付けているのは、他でもない瑠衣との結婚生活なのだから。