エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません
同時に、慌ててソファに置きっぱなしにしていたバッグから小さなポーチを探し、アルミ製のピンク色のシートから一錠取り出した。
毎日決まった時間に服用しないといけないので、瑠衣は大抵午後六時前後に飲むことにしている。早番なら帰宅しているし、中番なら休憩中に飲むことができる。
今日は沙良と待ち合わせでそれどころではなく、すっかり飲むのを忘れていた。
水で流し込んだ瞬間、玄関の鍵がガチャリと開く音がして、瑠衣は焦りながらポーチをバッグに押し込み、キッチンへ戻った。
「おかえりなさい」
「ただいま」
料理していた風を取り繕い、大和を出迎える。
会話は成立するし、決して仲違いをしたわけではない。
それなのにお気に入りのダイニングテーブルで食事をしていても、やはり今日もふたりの間の空気はぎこちなく、視線を合わせられないまま作った笑顔を貼り付けてやり過ごすしかできない。
シンクにふたり並んで食べ終えた食器を洗うのだって、結婚前に想像した幸せの象徴のようなシーンだったはずなのに、今は初々しさではなく、よそよそしい雰囲気がキッチンに立ち込めている。
ボタンを掛け違えてしまったような気持ち悪さが拭えず、気持ちが沈んでしまう。