エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません

(あぁ、あんなに考えたのに。どうしてうまく言葉が出てこないんだろう)

ここ数日の大和のよそよそしさは、きっと沙良と再会し、アメリカで働く魅力ややり甲斐を思い出したからなのではと思った。

だからこそ、ただ彼に自由を与えたいだけなのに。

うまく説明できないことに頭を抱えたくなり、とりあえずもうひと口コーヒーを飲んで落ち着こうと手を伸ばした時、ソファの端に置いていた瑠衣の通勤バッグが音を立てて落ちた。

フロントで働く瑠衣にとって、身だしなみは大切だ。いつでも万全のメイクができるよう、大きなバッグにはひと通りの化粧道具を詰め込んでいるためポーチがいくつも入っている。

そのうち一番軽いポーチが、バッグが落ちた拍子に大和の足元まで飛んでいってしまった。

「すみませ……」

大和が屈んで取ろうとしたポーチを見て、瑠衣は血の気が引いた。

「あっ、待っ……」
「これ……」

彼が拾ったポーチのチャックは半分ほど開いており、中からピンク色のPTPシートが飛び出している。

先程飲んだ時に慌てて片付けたため、きっとしっかり閉められていなかったのだろう。

シートには飲み忘れがないよう錠剤の上にそれぞれ数字が振られており、知識がある人間にはこの薬がどんな種類なのか察しがつく。

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