研がれる私/長編エロティックミステリー
カレ、阿修羅?⑤


「石橋くん…、お待たせした。心の準備はできたかな?…フン、もうやるしかないんだしな。お前が殺らなきゃ、この女を”底”から愛している現恋人のオレが手をくだすまでだ。お前以上にゾッコンな、”すきま女優としての”宮本ルイはオレが命を断つ。"コレ”で惨たらしくな」

そう言って、石神康友はリビングのクローゼットから、なんと…、日本刀をとりだしてきたわ…‼

そして刀の鞘を抜くと、部屋の照明が刃に当たって光るのを、これ見よがしに石橋さんの眼前へとかざしてる

なんて恐ろしいことするの‼

この男、ここまでを考えていたなんて…

私は大甘だったわよ!


***


「石橋…、お前、本気で宮本ルイに惚れてるんだろう?もともとあのサイトでルイに参ってたんだもんなー。なら、この修羅場でその心の丈を見せてみろよ。…ここで自分と極限まで戦って、この場で頭を突き合わせた愛しい女との結論をテメーで出せ!」

「うっ…、ううっ…!」

石橋さんの出血がひどい…

私の頭と交錯してる彼の顔からは、耐えがたい苦痛で歯ぎしりしてる表情が私の目に刺さってくる

「石橋さん、私は石神に殺されるから…。あなたが手を汚すことはないわ!ごめんなさいね、あなたたちを安易に誘って…。私、軽率だったわ。ううっ…」

私にはただ、後悔の涙と謝罪の言葉を伝えることしかできなかった…


***


「全員、よく聞け‼…ココでの後始末は、すべてサイト側が処置する。全部ケツを持ってくれるんだ。つまり人を殺しても、代わりを当ててくれる。実際、オレとルイ共演の本作品は、各国のモンスタースポンサーもさ、大変喜んでくれててな。できる限り、クライマックスはハデにやってくれ、責任は全部取るからって、激励を頂戴してるんだ」


「!!!」

この言には、全員が愕然としてた

ある程度は聞かされていても、こうもあからさまにフルで明かされると、鳥肌が立つわ

信じられない…!


***


「…ってことで、オレとしては、過去最高の作品に仕上げてやろうって気合いなんでな。そのエンディングの出来を決定づけるのは、石橋にかかってるって訳だから、しっかりとだ」

「チクショー‼イカレ野郎が…!うっ…」

私には察することができた

もう制限時間はきたと…

石神康友と宮本ルイの自作自演による、刺激に取り憑かれた狂気の物語はクライマックスの時を迎えたと…





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