研がれる私/長編エロティックミステリー

追章/更なる淵

ワタシの巡るあなたの淵①



「…じゃあ、あなたとの共演関係はこれで終演、完結された。それでいいのね?」

「ああ…。オレの愛しい恋人だったルイはすでにいないんだ。”あの二人”はもう終わりさ」

まさしく、二人はこれで”解散”となった…

壮絶なる、本ストーリー完結を以って…


***


それから数か月して…

義手を装着後のリハビリを積んだ石橋ミチヒロは、無事職場に復帰した

私は命がけで私との愛を貫いてくれたカレに寄り添って、さらに愛し合う仲となった

このままだと結婚も…

そんな二文字も二人の間には芽生えはじめ、世間並みのアツアツロードを歩んでいたわ

そう思っていた

おそらく、カレも…


***


だけど…

1年もすると二人の心の中には、微々な変化が生じる…

無論、それでも二人は心から愛し合っていたわ

むしろ時間を重ねるに従って、どんどん好きなる気持ちが募っていくのは、お互いに感じ合えてたくらいだったし

問題は、相手を思いやるが故の苦しさ、葛藤だった


***


彼は、”あの時”のこと…、ありのままの素直な気持ちで私に告げてくれてたわよ

”…あの時、オレ…、石神に屈してナイフを振り上げた。それを下ろし切る瞬間までキミを刺すのを拒めるか迷ってたはずだ。だから…、石神にああされなかったら、キミを刺していたかもしれない。それは否定できない…”、と…

彼、義手をもう一方の掌で添えながら、しんみりとしてて…

結局、私はこれを受け入れた

その上でこの人を愛し続けると…

でもね…

彼としては…、私が、もしかしたら最初から刺すつもりだったのではと考えてるかも知れない…

そして私の方は…、彼が私のことをそう勘ぐってるかもしれないと思ってる可能性もあると…

まるでイタチごっこのような、相手を気遣うあまりの疑心暗鬼が二人の中に染み込んでいたみたいなの

それは互いの侵食とか…?

そんなところだっかも…








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