研がれる私/長編エロティックミステリー
四人目の男③



「ということは、私の恋人くらい簡単にヤレるわね」

「ああ。容易い」

「じゃあ、あなたにはあと一点だけよ。なんで、今回”応募”してくれたの?」

「…あんたの導いたあのイカレたストーリーが気に入った。まずはそこだ。…オレは海外で散々人を始末してきたが、いくら経験を重ねても慣れみたいなものは生じなかった。むしろ殺す瞬間を繰り返すたび、その興奮度、緊張感は高まっていった。その異様な心理状況では、常に更なる刺激を求めていたんだ」

「じゃあ、あなたも私と同様、刺激中毒者ってことなの?」

「まさにな。…こうやって平和なこの国で暮らしていても、自分の中の危険でダークなケモノの蠢きはずっと消えなかったさ。この手で金のために、何の恨みもない人の命を奪う…。その時の生々しい感触が忘れられず、飢えていたんだ。極限の刺激にな…」

カレは淡々と語っていたが、その両の眼は妖しい閃光を放っていた


***


「今夜、こうして実際にあのストーリーの”主演女優”を目の前で拝んで、オレの中に住む刺激を欲するケモノはよだれを垂らしてるよ」

「なら、私のこと、気に入ってくれたのね?」

「ああ…、オレとしては是非、お前とあのストーリーの続きを”演じたい”ぜ」

この言葉を口にした彼が漏らしたアンニュイな微笑には、なんともそそられた

このカレからは、わくわくするような危険の匂いが伝わるわ

いや、それを超えた狂気…

そんなものも見え隠れする男だった


***


「…もう一杯、何かいかが?」

「じゃあ、お前が頼むものと同じものをもらおう」

「マルガリータでいい?」

「いいな、最高だ」


***


この人は1番目の男の基準値を、すべての面で上回っていたわ

フィーリングとしては2番目のカレが勝っていたけど、今回の私の”相手役”にはこれ以上ない程マッチしていた

「じゃあ、結果は直接会ってお知らせってことなので、○○日どう?」

「夜なら空いてる」

「ではその日ね。時間と場所は指定して。あとでメールで送ってくれてもいいわ」

「いや、今指定しよう。…袖をまくって右手を出しな」

「えっ…?」

コイツ、気が付くとキケンな眼になっていた…




< 21 / 127 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop