研がれる私/長編エロティックミステリー
四人目の男④



私は上着を脱いで、ブラウスの袖を肘辺りまで上げてから、言われるまま右手をテーブルの上に乗せた

すると、石神は胸元から右手でペンを取り出し、もう一方の左手で私の腕をつかんだ…、というか、押さえた

タッチはソフトだが、さすが殺しのスペシャリストに生肌を押さえつけられると、腕だけでもドキリとするものがある…

なにしろ、カレの醸すデンジャラスな香りはホンモノ感が漂っていた…


***


もっとも袖をまくった私の腕に、これから目の前のカレが何をするのかは予想できた

無論、注射器を刺すなどではない

そして私の思った通り、ごっついカレの右手に握られたペンで、然るべき約束場所と時間を私の右腕に刻み込んだ


『○○市××町1-20-11 サパーラウンジ”ジャンク” PM8時~』

右腕の白い柔肌に記されたその黒いインクの文字を、私は小声で読み上げた


***


この30字余りを私の右腕の肘から手首に掛けて、ゆっくりと書き込んでいる最中、カレは独り言のように話してくれた…

「…ナイフで刺し殺す際は、左手でターゲットを押さえるんだが、その時の肌感は人間ってより、動物を感じるんだ。体のどの部分であろうと柔らかい触感はオレにとって、人の命を奪う直前の感覚と結びついてしまってる。こうやってお前の柔肌を軽く押さえてるだけで、異常に興奮するんだ…」

「…」

私もヤバいが、コイツもハンパなくヤバい…

ステキよ





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