研がれる私/長編エロティックミステリー
異変の始まり②



石橋ミチヒコは電話に出た…

「…もしもし」

「石橋さん…?私、宮本よ。メール拝見した。大丈夫なの、ケガ…」

これは、私の心に従った純なる思い

私でもこんな言葉、口から出るんだ…

変な言い方だが、この時は掛け値なく、そんな自分に感心(?)し。かつ驚いていたわ


***


「ルイさん…。ケガは入院して手術するほどのものではないからそんなに心配しなくていいよ。第一、そういう宮本ルイ、僕は求めてないし…」

「わかった。…でも教えて。どこをケガしたの?」

「…今は答えたくないんだ。とにかく、みっともない話だが、あなたとの共演…、僕には無理だと悟った。それで承知してくれよ」

「脅されたのね?そのケガだって、誰かに襲われた。違うの?」

「それも答えたくない。悪いが、これっきりにして欲しい。残念だけど…。じゃあ…」

「ちょっと、待って!私の共演者、あなた以外の人に決めたの。もし、私の”相手”になるな、辞退しろって、あなたが強圧されたらよ…、それ、”人違い”になわ。だから私…」

「ルイさん、いいって…。一言だけ言っとくけど、今のあなたの懸念、”的外れ”だよ」

「…」

的外れ…

それってどういう意味なのよ!

私は言葉が出なかった…


***


カレは、”サヨナラ。おやすみ”の二言を以って、あっさり電話を切った

その後、冷静になってカレの言う私の”的外れ”とは何のことか、よく考えてみた

だが、分からなかった…

というか…

それよりもだったのよ

この時点で、石橋ミチヒコにケガをさせて私とのパートナーシップを放棄させたのは、石渡カズヒコだと決めつけていたのだから…

そうなら、あのチョイデブを直に問いただすのが手っ取り早い

いや、待て待て…

中途半端に詰問しても、石橋がどこにどんなケガを負ったのかもわからなきゃ、ヤツにはぐらかされるのがオチだ

あのヤロー、見かけによらず頭はキレる


***


結局私は、明日にでも石橋の自宅を訪れてみることにした

そこで会えれば、仮にカレが何も話さなくとも、ケガの場所や程度くらいは把握できるだろうし

チョイデブに質すのはその後だ





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