研がれる私/長編エロティックミステリー
カラクリ⑤



「”すきま女優の館”は、ある多国間ベンチャーが世界各国のモンスタースポンサーをつけて運営している、星の数ほどあるサイトの一つだ」

「…」

「…現代のモンスターさん達は、有り余る金にモノを言わせて個人的な趣向、道楽と欲望に沿ったサイトを作らせ、自分達は人の目に触れないところで、日々コンテンツを豪邸で”覗き見”しているんだ」

はー?

完全、オタクじゃないか!


***


「…だいたいは、過激な性と暴力表現のカテゴリーだ。中には動物への薬物投与や人体実験まがいな、グロいのもな。多国間ベンチャーは、いずれも複数の国をまたがせ、法の網をかいまをくぐって世界中のユーザーに食い込んでる。まあ、巨大利権組織体による、最先端のアングラ・ネットワークってとこだ」

現実とバーチャルの行き交うフュージョン空間…

今の世、その禍々しい創造主は、国境をまたにかけて実態を得てるんだ

やはり私は、その得体の知れない妖なる世界に足を踏み入れていたのね…


***


「…オレは海外での例の稼業を通じて周知の仲だった、中東のあるモンスター・スポの男に口利きされてな。日本向けのこのサイトに”アクター”として採用となった。ちなみにそいつは、”すきま女優の館”には出資していない」

「一応尋ねるわ。なぜ、このサイトに参画したの?海外で生と死のギリギリを体ごとだったあなたが、こんな下世話なサイトに…」

この時の私…

挑発というより、誘導だったかも


***


カレは私の顔をじっと見つめながら、自分の中で私に発するべき範疇を計っていたようだった

しばらくして、率直に答えてくれたわ

「…”平和”な母国に戻った後、野生の牙が日々萎えていくのを実感していたからな…。単純に危険色の刺激に飢えていた。いや、それが恋しかったんだろう、当時のオレは…」

後段での康友の眼はどこか悲しげだった





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