研がれる私/長編エロティックミステリー
シナリオ⑦



浦島太郎…

今、私の目の前にいる、石神康友は筋金入りのソルジャーだった

しかも海外の戦場で利害関係をスルーし、特殊工作員として雇い主によってそれぞれの立場を縦断する、それだった

ある意味、”人間”を捨てなければできない”業務”だったのではないのか…

そのカレが、自分の生まれた母国に帰ってきたのは、8年前だと言う…


***


「…オレがこのサイトに求めたのは非日常だ。生粋の日本人であるはずのオレの眼には、日本の日常がマンガに見えた。”リアルな今の世界”からしたら、この国、なんちゃって先進国だぜ」

カレのそれを語る目、とてつもなく悲しそうな目に写った…

「…おめでたい表面上だけの平和と安定の中でヌクッてる、この国の”人民”さん達は原始人に見えたわ。祖国の同胞は、みんな非文明人に成り果ててる…。まあ、オレ的には不思議とキリギリスにも見えたけどな(苦笑)」

カレはかすかに笑っていた…

いえ、それは嘲笑だった

そして、カレの表情、どこか童顔を感じたわ


***


「要はあなた、祖国に絶望したのね。でも、簡単にはそこへ行き着きたくなかった…。だから、日常解脱?それって、弱い人間の辿るメンタルモードでしょ。違うの?」

「…」

康友は一転して恐ろしい顔になってた

テメー!テメー!テメー!って…

私に向かって

カレ…、そんなムキになれてる自分の夢中な瞬間を芯で感じ取ってる…

来ていいのよ、もっと!

ああ、そうか…

結局、それもこの人なりの童心ってことなのかな






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