研がれる私/長編エロティックミステリー
シナリオ⑨



でも、私はそれに従うことにしたわ

カレの誘導にはどこか、思いつきのようなものも感じられなくはなかったが、計算づくというようなフシも見てとれた

妙に台本を読むような滑らかさが伝わったんだ…

その意味するところは、”恋人役の面接時”に於いて、はっきりと突き付けられるのだが…


***


「今日はもっともってとこだったが、まあ、楽しかった。今度はお前の恋人役が決まった後、ここでまた会おう」

「ええ…」

私は短く答えた


***


そのあと、カレは私を先に店から帰し、自分はジャンクに残った

それって…


***


このジャンクという店では、石神康友と約40分強、隣り合ってた

微妙に体が触れ合ってもいた

途中…、カレの吐息、肌感が生々しく伝わってきたわ

正直言って、若干欲情もした

たぶんカレの方も…

でも、今日はそれ以上には至らずに終えたのよ

お互いに…

これはプロローグ…

カレにしたら、”お前をソコんとこ持ってくつもりだ”って、匂わせることが第一義だったと思う

所詮、今夜はね

私にしたって、受けて立つ立場なんだし、今日はそう言うことねってとこで、まあ、一歩も下がらなかった自負はありだったし

そうよ、がっぷりだったわ

そこで、次はさらに一歩苛烈になる

私はそう予感して、まあ、ウキウキってとこもあった


***


さて…、私の描いたストーリーは、かくて、さらに危険な針路を突っ走って行くことになった訳ね

そのロードは、ズバリ沼道…

乾いたドロドロ感で普通には歩けないヤバい道

私とあの人の足は、その都度踏んではならない地にひたすら悲鳴を上げさせる

そう、本来はやめなくてはならないのよ

先に進むことを

ひたすらに善意を宿された運命の地べたは、さかんに私たち二人に向かって引き留める絶叫を発することだろう

優しくもマヌケな声で…






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