研がれる私/長編エロティックミステリー
キャスティング完了②



「…まあ、俺から言わせれば、高石のアタマはお花畑、おバカ畑だな(嘲笑)。…だいたい、行政処分&停職かっ喰らってだよ、飲み屋の女がさ、”私の夢だった薬剤師を実現した高石さん、困ってるんだもん。私をアッシーに使って~!”とか、”私のまだあきらめてない夢に寄り添って、勉強をおしえてくれた恩返しよ~ん。ウッフーン…”とかってよう…。アホくさ…」

「…」

私は無言…

であった…


***


「…その女の本心は、”いつも私を指名してくれてる、私にお熱ちゃんだもん。ここは食い込むチャーンス!”…、ってとこだたって。若いうちから客の酒をかっ喰らって日銭にしてる夜行性ワーク女なんて、そんな思考しか持ち合わせてちゃあいないって。バカだねえ…、あの純ムクの高石は」

いやぁ…、石渡のデブ、ここまでボロクソに言えたらお見事だって…


***


確かに…、当然全部とは言えないが、夜の仕事に就く若い女にはそんなしたたかさで男を惑わし、堕落させ骨抜きにする、自然体から発する猛毒は持ち得るだろう

そうじゃなきやってけないって側面も否定しない

で…、それらの彼女らによって、財を失ったり破滅に追いやられる男たちも少なくないはずだ

そんな境遇下に至った連中を、彼女らは”それ、私のせい?違うでしょ。自己責任だって。120%!”と突き放す…

その典型が高石ってことになるのか…

それで、この女だが…

実際にいじらしいほどの献身ぶりで、高石の心をガツンとつかんだらしいわ


***


その手口…、いや、行いは確かにどん底にあった高石にとっては、癒され慰められ勇気つけられで、もう彼女を見つめる両の瞳はピンクのハートマーク点滅だったろうよ

「…なんでもさ、その女、高石が外回りの仕事なんかん時は、睡眠時間削って車でヤツを送り迎えしてたんだそうだ。高石のヤツ、言ってたわ。”化粧の時間も惜しんですっぴんだった。その質素な素顔が愛しくてたまらなかった…”だってよ。わざとだって、そんなすっぴん‼️ああ…、女からしたら面倒だってのもあるだろうが…。とにかくキホン、確信犯には違いない!はは…、すっぴん晒す時の女ほど怖えーモンはないからよー(笑)」

石渡の脂肪付は、油ぎったニヤケ面でこの私を意味深に眺めていた

まあ、私もすっぴん晒す際となれば、結構勝負かけてる時かもだ…





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