さよならしたはずが、極上御曹司はウブな幼馴染を赤ちゃんごと切愛で満たす
幸雄は娘の目の前で両手を合わせた。人のよい父のこのおねだりの表情に、娘の光莉は弱いのだった。
「一応、言っておくけれど、私だって暇ではないのよ? 今、企画が走ってるところだし、毎日こうして試食をしてるところで……」
「ああ、もちろんわかっているさ。だが、このとおりだ」
父は若い頃に東京の商社に勤めていたが、光莉が中学二年のときに先代である祖父が他界。実家のある金沢に移り、祖父に代わって三代目社長として山谷食品を継いだ。
父が社長に就任して以来、東京の食品会社とも業務提携を行っており、地元に愛されるだけでなく全国に素晴らしい商品を届けられるよう日々商品開発に勤しんでいる。
光莉が高校生の頃に母が急逝 し、それからは父と親子二人三脚で慎ましく暮らしてきた。光莉は父を尊敬しているし、金沢での暮らしも、この仕事も、社員のことも工場の従業員も、みんな大好きだ。いつか父の右腕になって父を支えられる人物になれたらいいとも思う。
そんな尊敬する父から大事な用事を頼まれれば、光莉としても断れないというもの。
常盤グループはホールディングスカンパニーとして様々な事業を展開し、幾つもの子会社を管理している。昨今は特に食品部門に力を入れているようで、数年前に金沢の郷土料理や名産を使った食品のコラボ企画でお世話になった。山谷食品と常盤グループとの付き合いはそれほど長くはないが、その企画をきっかけに、山谷食品の名前が世の中に広く知れ渡ることとなったのだ。
そういう恩義があるから、招待を無下にすることなどできないし、何より大企業の創業記念パーティーなのだ。山谷食品の代表として、ある程度の肩書を持つ者が必要なのだろう。光莉は役員などではないが、経営者の娘という立場であれば、何かと交流しやすいことがあるかもしれない。
「もう、仕方ないな」
「ありがとう。光莉」
「東京かぁ。向こうに行くのなんて何年ぶりだろう。あ、せっかくだから、ついでに色々見て来られたら嬉しいな。ほら、視察という名目でね」
光莉は幸雄に期待の目を向けた。父は娘の言わんとすることを理解したようだった。
「ああ。もちろん数日ゆっくりしてきて構わないよ。会いたい友だちもいるだろう」
「やった。じゃあ、お言葉に甘えて、出張ついでに有給休暇をいただいちゃいまーす。スイーツ巡りしちゃおう」
「一応、言っておくけれど、私だって暇ではないのよ? 今、企画が走ってるところだし、毎日こうして試食をしてるところで……」
「ああ、もちろんわかっているさ。だが、このとおりだ」
父は若い頃に東京の商社に勤めていたが、光莉が中学二年のときに先代である祖父が他界。実家のある金沢に移り、祖父に代わって三代目社長として山谷食品を継いだ。
父が社長に就任して以来、東京の食品会社とも業務提携を行っており、地元に愛されるだけでなく全国に素晴らしい商品を届けられるよう日々商品開発に勤しんでいる。
光莉が高校生の頃に母が急逝 し、それからは父と親子二人三脚で慎ましく暮らしてきた。光莉は父を尊敬しているし、金沢での暮らしも、この仕事も、社員のことも工場の従業員も、みんな大好きだ。いつか父の右腕になって父を支えられる人物になれたらいいとも思う。
そんな尊敬する父から大事な用事を頼まれれば、光莉としても断れないというもの。
常盤グループはホールディングスカンパニーとして様々な事業を展開し、幾つもの子会社を管理している。昨今は特に食品部門に力を入れているようで、数年前に金沢の郷土料理や名産を使った食品のコラボ企画でお世話になった。山谷食品と常盤グループとの付き合いはそれほど長くはないが、その企画をきっかけに、山谷食品の名前が世の中に広く知れ渡ることとなったのだ。
そういう恩義があるから、招待を無下にすることなどできないし、何より大企業の創業記念パーティーなのだ。山谷食品の代表として、ある程度の肩書を持つ者が必要なのだろう。光莉は役員などではないが、経営者の娘という立場であれば、何かと交流しやすいことがあるかもしれない。
「もう、仕方ないな」
「ありがとう。光莉」
「東京かぁ。向こうに行くのなんて何年ぶりだろう。あ、せっかくだから、ついでに色々見て来られたら嬉しいな。ほら、視察という名目でね」
光莉は幸雄に期待の目を向けた。父は娘の言わんとすることを理解したようだった。
「ああ。もちろん数日ゆっくりしてきて構わないよ。会いたい友だちもいるだろう」
「やった。じゃあ、お言葉に甘えて、出張ついでに有給休暇をいただいちゃいまーす。スイーツ巡りしちゃおう」