さよならしたはずが、極上御曹司はウブな幼馴染を赤ちゃんごと切愛で満たす
「あ、ごめんなさい。わかりました。明日、スケジュールを確認次第、こちらから連絡を入れてみます」
川岸は、お願いします、と光莉に折り返し先が書かれたメモを手渡す。
川岸を見送ったあと、光莉は再び病室に戻り、眠っている父の傍らに座り込んだ。
「常盤、律樹……」
光莉はメモを眺め、思わず呟く。
メモに記載された電話番号は、彼個人の携帯だろうか。それとも仕事用だろうか。
ふと、窓の外を見る。もうすっかり暗くなってしまい、秋の風景は見られなかった。
一体、どんな顔をして彼は連絡をよこしたのだろう。
幸雄が目を覚ましたのは翌日の早朝のことだった。驚かせてすまないと、幸雄はしきりに光莉に謝った。
一方、光莉はいつものように幸雄を明るく励まし、会社のことには触れないようにした。
幸雄は詳しい検査と治療のため、二週間ほど入院することになった。光莉は病院一階の事務局医事課で入院手続きなどを済ませたあと、売店で取り急ぎ必要なものを買い揃え、父にまた来ると伝えて一旦会社に戻った。
一応有給休暇中となっている光莉は出社する必要はないのだが、やはり会社のことが心配だったのだ。専務の川岸に改めてお礼の言葉を伝え、社員や従業員に声をかけて、社長は無事だから安心してほしいと伝えて回った。
それから、茶屋通りのカフェでお昼休憩をしたあと、光莉はさっそく律樹に連絡を入れた。
コールが鳴った瞬間から、心臓の音は大きく高鳴り、スマホを握る手に汗をかいた。
声が聞こえたときには、緊張のあまりに声が上ずった。しかし電話に出たのは彼ではなく秘書の男性だった。会議中だったので転送されたらしい。
どっと脱力する光莉をよそに、秘書は淡々と用件を伝えてきた。急ぎの話があるので今日の午後空いているようであればさっそく伺いたいと律樹から伝言を頼まれていると言われ、光莉は焦った。いくら近々とはいえ、もう少し先の、数日後の話だと思っていた。
結局、相手に押し切られ、光莉は会社に急ぎ戻って応接室の準備をした。心の準備の方はまったく整わないままに、あっという間に約束の時間がやってきてしまった。
「――失礼します」
約束をした十六時頃、光莉が緊張に身を包んで応接室へ行くと、ふたりの男性がこちらを向き、それぞれ立ち上がった。
川岸は、お願いします、と光莉に折り返し先が書かれたメモを手渡す。
川岸を見送ったあと、光莉は再び病室に戻り、眠っている父の傍らに座り込んだ。
「常盤、律樹……」
光莉はメモを眺め、思わず呟く。
メモに記載された電話番号は、彼個人の携帯だろうか。それとも仕事用だろうか。
ふと、窓の外を見る。もうすっかり暗くなってしまい、秋の風景は見られなかった。
一体、どんな顔をして彼は連絡をよこしたのだろう。
幸雄が目を覚ましたのは翌日の早朝のことだった。驚かせてすまないと、幸雄はしきりに光莉に謝った。
一方、光莉はいつものように幸雄を明るく励まし、会社のことには触れないようにした。
幸雄は詳しい検査と治療のため、二週間ほど入院することになった。光莉は病院一階の事務局医事課で入院手続きなどを済ませたあと、売店で取り急ぎ必要なものを買い揃え、父にまた来ると伝えて一旦会社に戻った。
一応有給休暇中となっている光莉は出社する必要はないのだが、やはり会社のことが心配だったのだ。専務の川岸に改めてお礼の言葉を伝え、社員や従業員に声をかけて、社長は無事だから安心してほしいと伝えて回った。
それから、茶屋通りのカフェでお昼休憩をしたあと、光莉はさっそく律樹に連絡を入れた。
コールが鳴った瞬間から、心臓の音は大きく高鳴り、スマホを握る手に汗をかいた。
声が聞こえたときには、緊張のあまりに声が上ずった。しかし電話に出たのは彼ではなく秘書の男性だった。会議中だったので転送されたらしい。
どっと脱力する光莉をよそに、秘書は淡々と用件を伝えてきた。急ぎの話があるので今日の午後空いているようであればさっそく伺いたいと律樹から伝言を頼まれていると言われ、光莉は焦った。いくら近々とはいえ、もう少し先の、数日後の話だと思っていた。
結局、相手に押し切られ、光莉は会社に急ぎ戻って応接室の準備をした。心の準備の方はまったく整わないままに、あっという間に約束の時間がやってきてしまった。
「――失礼します」
約束をした十六時頃、光莉が緊張に身を包んで応接室へ行くと、ふたりの男性がこちらを向き、それぞれ立ち上がった。