さよならしたはずが、極上御曹司はウブな幼馴染を赤ちゃんごと切愛で満たす
頑として譲れない考えを伝えると、しばし睨み合いの状態になったあと、律樹が静かにため息をついた。
「これでは堂々巡りですね。ここまでわからずやのお嬢さんだとは思いませんでした」
律樹にそう言われ、光莉は唇をかみしめて、彼をまっすぐに見た。
どうして彼とこんな話をしなければならなかったのだろう。少しでも期待をしてしまった自分を心から悔いた。
「少し、深呼吸をして」
「なんですって?」
「ほら、今の君はまるで敵を睨む戦国武将のような顔つきだ」
「は……?」
「美しい理念を活かすのも殺すのも君次第だ。いいかい? 生き延びるために必要なことは、どんな手段も選ばずにいる姿勢だよ。状況的にこちらの申し出を断るような立場ではないということをもっと理解してほしい。うちが手を引いたとしよう。しかしそのあと、残された城は滅ぼされるだけ」
「――よくわかりました。つまり、合意しなければ、うちを徹底的に潰すと言いたいんですね。回りくどい説明をしなくても、元からそのつもりだったんじゃないですか?」
幸雄の様子がおかしかったのも今なら納得できた。父を追い詰めたのはまぎれもなく目の前の彼。その事実に、胸が押しつぶされるような想いになる。
幼かった頃、私が彼の味方でいたように、彼だけは私の味方だ……とずっと思い込んでいた。初恋は初恋のままの方がよかった。
あの日のことは忘れなくてはいけない。すべて塗りつぶして、そして塗り替えていくべきだ。彼は、もうあの頃の彼ではない――。
絶望に打ちひしがれていたところ、律樹は小さくため息をついた。
「君は何か勘違いしているよ。今の君はただ感情が高ぶっている幼い子どもだ。社長の娘でもなんでもない。何かを敵だとみなさなければ、心の安寧が保てない。そういう状況だろう」
律樹の意地悪な言い方に、光莉は即座に反発した。
「卑怯者で無神経なあなたに言われたくないわ」
涙が溢れそうになるのを我慢し、彼をまっすぐに睨みつける。彼は意表を突かれた顔をしたあと、その表情をやわらげた。
「聞いてくれ。俺は、君と戦うためにここにいるんじゃない。卑怯な手を使いたくはないし、山谷食品を潰そうだなんて思ってない。守りたいんだ」
「……っ」
「守るために必要なことなんだ。君は、一時の感情で一番大事なものを失うのか? プライドはそんなに必要なことなのか?」
「これでは堂々巡りですね。ここまでわからずやのお嬢さんだとは思いませんでした」
律樹にそう言われ、光莉は唇をかみしめて、彼をまっすぐに見た。
どうして彼とこんな話をしなければならなかったのだろう。少しでも期待をしてしまった自分を心から悔いた。
「少し、深呼吸をして」
「なんですって?」
「ほら、今の君はまるで敵を睨む戦国武将のような顔つきだ」
「は……?」
「美しい理念を活かすのも殺すのも君次第だ。いいかい? 生き延びるために必要なことは、どんな手段も選ばずにいる姿勢だよ。状況的にこちらの申し出を断るような立場ではないということをもっと理解してほしい。うちが手を引いたとしよう。しかしそのあと、残された城は滅ぼされるだけ」
「――よくわかりました。つまり、合意しなければ、うちを徹底的に潰すと言いたいんですね。回りくどい説明をしなくても、元からそのつもりだったんじゃないですか?」
幸雄の様子がおかしかったのも今なら納得できた。父を追い詰めたのはまぎれもなく目の前の彼。その事実に、胸が押しつぶされるような想いになる。
幼かった頃、私が彼の味方でいたように、彼だけは私の味方だ……とずっと思い込んでいた。初恋は初恋のままの方がよかった。
あの日のことは忘れなくてはいけない。すべて塗りつぶして、そして塗り替えていくべきだ。彼は、もうあの頃の彼ではない――。
絶望に打ちひしがれていたところ、律樹は小さくため息をついた。
「君は何か勘違いしているよ。今の君はただ感情が高ぶっている幼い子どもだ。社長の娘でもなんでもない。何かを敵だとみなさなければ、心の安寧が保てない。そういう状況だろう」
律樹の意地悪な言い方に、光莉は即座に反発した。
「卑怯者で無神経なあなたに言われたくないわ」
涙が溢れそうになるのを我慢し、彼をまっすぐに睨みつける。彼は意表を突かれた顔をしたあと、その表情をやわらげた。
「聞いてくれ。俺は、君と戦うためにここにいるんじゃない。卑怯な手を使いたくはないし、山谷食品を潰そうだなんて思ってない。守りたいんだ」
「……っ」
「守るために必要なことなんだ。君は、一時の感情で一番大事なものを失うのか? プライドはそんなに必要なことなのか?」