もう一度あなたに恋したときの処方箋


***


その日は、部長の言葉が頭から離れなかった。
勤務時間が終了してから、やはりというか高木さんが食事に誘ってきた。
昼間の話が気になっていたから、私もすぐに行くと返事をした。

近ごろの私は、高木さんやそのほかの男性社員といても自然に会話できるようになっていた。

(高木さんのおかげかも)

以前にふたりで来たことのあるスペインバルだ。
あの時と同じ、奥の席に案内された。

高木さんはスペイン料理を注文してからも、いつになく無口だった。
なんとなく岡田部長の言っていた言葉の続きを避けているようにも思える。

食事しながら当たり障りのない会話をしていたが、デザートが運ばれてきたタイミングで私は気なっていたことを口にした。

「今日は、岡田部長となにかあったんですか?」

「いや」

「私の仕事になにか問題でもありましたでしょうか?」

「問題は特にない」

なにを聞いても、高木さんの言葉も歯切れ悪い。

「私、なにか高木さんの気に障ることをしちゃいましたか?」




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