もう一度あなたに恋したときの処方箋
じっと見つめながら言うと、高木さんはグラスの赤ワインをひと口飲んでからやっと重い口を開いた。
「あのタヌキ親父が社内の噂を聞いて、勝手にきみのお祖母さんとお姉さんをレセプションに招待したんだ」
「私の家族を? 噂のせいで?」
この前、エリちゃんが言っていた噂話のことだろう。
「君もなにか噂を聞いてた?」
思わず手を当ててしまうくらいに頬がカッと熱くなってきた。例の噂話を自分から口にするのはものすごく恥ずかしい。
「え~と、私と、高木さんのことでしょうか?」
なんとなくぼやかしてしまった。
「知らなかったのは俺だけか……」
そう言うと、高木さんはグラスに残っていたワインをゴクゴクと飲み干した。
私となんて噂になって面白くないんだろう。
「……すみません」
なんとなく、悪いことをしているみたいで謝ってしまった。
でも噂なんて気にしていないのか、高木さんは話し続ける。
「あれから君の体調が気になって、顔を見るたびについ声を掛けてしまったんだ」
「もう大丈夫です。元気ですから気にしないでください」