もう一度あなたに恋したときの処方箋
「いや、そういうつもりじゃないから」
私の『気にしないで』という言葉がよくなかったのか、高木さんはますます歯切れが悪い。
「高木さんにはご迷惑おかけしてしまって……」
「いや義弟がすべての原因だったんだ。ご家族にも君が元気になったのを見てもらえたら嬉しいよ」
「でも部長が誤解して、祖母と姉にわざわざ声をかけてくださったなんて申し訳なくて」
高木さんはまた黙ってしまったので、私はじれったい気持ちになってきた。
コーヒーを飲み終わったところで私は席を立つことにした。
「お話がそれだけなら私はこれで失礼します。ごちそうさまでした」
頭を下げると、高木さんの返事を待たずにコートを手にして店を出る。
(高木さんとはいい関係になれたと思っていたのに)
優しい言葉をかけてくれたり、食事に誘ってくれたりしたのはなんだったんだろう。
彼が私を大切にしてくれているんだと思い上がってしまっていた。
(噂が迷惑なら、声をかけてこないで欲しい)
なんだか無性に腹が立ってきたので、歩道をカツカツとヒールの音を響かせながら歩いた。
(いつまで義弟さんのことで、私に気を遣うの?)